「やさしい日本語」って何?(概要)
↑にて、「やさしい日本語」の概要についてお伝えしました。
それでは次に、「やさしい日本語」で伝えるときのポイントを
簡単にご紹介します!
やさしい日本語は「はさみの法則」で伝えよう!
やさしい日本語で伝えるときに、一番基本的なルールが3つあります。
それは、「はさみの法則」です!✂
「は」:はっきり言う
1つ目のポイントは、「はっきり言う」ことです。例えば…、
- 発音をはっきり言う
- 主語と述語をはっきり言う
- 文末表現をはっきり言う
などに気をつけることが大切です。
ただし「発音」については、
ひとつひとつ口を大きく開けてゆっくり伝えればいいかというと、
そうではありません。
速すぎるのは伝わりにくいですが、「わーたーしーはー…」のように
ゆっくり言い過ぎるのも逆に伝わりにくくなります。
また、分かりにくい曖昧な言い方をしないことも大切です。
誘われた際の返事としての「明日は難しいです」などは、
答えがどちらなのかはっきり伝わりません。
この言い方で伝わらない場合には、
「はさみの法則」でもっとやさしくする必要があります。
この場合は、(一例ですが)
「すみません。明日はだめです。」のように、
明確に伝えるといいと思います。
また、
二重否定(「できなくもない」「~しないわけにはいかない」etc.)なども、
反対の意味で伝わってしまう場合があるため、
避けたほうがいい表現です。
「さ」:さいごまで言う
2つ目のポイントは「さいごまで言う」ことです。
上の「は」のポイントとも重なりますが、
文末までしっかり言うことで伝わりやすくなります。
例えば、先ほどの例のように誘われた際の返事として、
「明日はちょっと…。」という返事の場合、
断りの表現として伝わらない可能性があります。
相手にとっては文の途中なので、
まだ文が終わっていないと思い、
「ちょっと…、…何ですか?」のように、
相手はその先の言葉が出るまで待ってしまうかもしれません。
これも、さまざまな言い換え例がありますが、一例として、
「明日はちょっと…。」→「すみません。明日はできません。」
このように、文末まではっきり伝えましょう。
「み」:みじかく言う ※一番重要!
3つ目のポイントは「みじかく言う」ことです。
このポイントが一番重要です!
まずはこの「みじかく言う」トレーニングから始めてみましょう(*^-^*)
一文を短く言うことができれば、
他の2つのポイント(「はっきり言う」「最後まで言う」)も、
言い換えやすくなります。
一文を短くする際の目安としては、
「一文の中に主語と述語は1つずつ」を意識しましょう。
例えば、
「朝起きて歯を磨いてコーヒーを飲んで朝ごはんを食べてから仕事に行きました。」
この文は長過ぎて、聞くのに疲れてしまいます。
ここでは言い換えの一例として、
→「朝起きました。歯を磨きました。
コーヒーを飲みました。朝ごはんを食べました。
それから仕事に行きました。」
このように短くしてみると、聞きやすく伝わりやすい文になります。
そして、主述の関係が分かりにくい文も、
関係をはっきり分かる文にして伝えましょう。
例えば、
「私は東京で学校の先生をしている姉がいます。」
これは、日本語ネイティブの方にとっては
一見何が難しいのか分かりにくいと思いますが、
実は「私は」「姉が」この2つが一文にあることで、
東京に住んでいるのは私?姉?
学校の先生をしているのは私?姉?
これが伝わりにくく混乱させてしまいます。
ここでも言い換えの一例として、
→「私の姉は東京に住んでいます。そして、姉は学校の先生です。」
このように言い換えると、分かりやすくなります。
このように「みじかく言う」ポイントを実践する際は、
「握り寿司を一貫ずつ食べてもらう」
イメージで伝えるといいと思います。
握り寿司を相手に一貫出し、
相手が食べ終わったのを確認してから
次の一貫を出す。
それと同じように、
1つの文を相手に伝え、
相手が理解したのを確認してから
次の文を伝える、というイメージです。
その他にもいろいろなルールがあります
「はさみの法則」がいちばん基本的なポイントですが、
慣れてきたら、以下のポイントにも気をつけてみましょう!
- 敬語を使わず、「~です」「~ます」「~ください」という表現にする
- オノマトペ(擬音語・擬態語)は使わない
- カタカナ語は使わない
- 漢字語彙ではなく和語を使う(鑑賞する→見る/開始する→始めるetc.)
- 複合語(~切る・~抜くetc.)、慣用句(足を引っ張るetc.)は使わない
など…、いろいろなポイントがありますが、
一気に全部使おうとするよりは、
まず「はさみの法則」をしっかり使いながら、
他のポイントも少しずつ取り入れてみるといいと思います。
正しい答えは一つじゃない!
以上、「やさしい日本語」に言い換える際のポイントを伝えましたが、
最後に「やさしい日本語」の根底にある、
最も大切な考え方をお話します。
それは、
- 正しい答えは一つではない
ということです。
ポイントをしっかり守って伝えても、
伝わらないこともあるかもしれません。
その時は、さらにやさしく言い換えてみましょう。
反対に、外国ルーツの方=つねに「やさしい日本語」、
というわけでもありません。
日本語が流暢な方もたくさんいらっしゃいます。
全てを「やさしい日本語」で伝えなくてもいい場合には、
伝わりにくい部分だけを「やさしい日本語」に言い換える、
という伝え方もあります。
つまり、一番重要なことは、
「目の前の相手に合わせた伝え方をすること」です。
目の前の相手に伝われば、
それが相手にとっての「やさしい日本語」です。
一回で伝わらなくてもいいんです。
試行錯誤していいんです。
「絶対に伝える!」という気持ちがあれば、
伝えるための次の一手を探ることができます。
そして、その分、通じ合えた時の喜びは大きくなり、
相手との心の距離も近くなります。
「やさしい日本語」は人の数だけある。
そう思います。
皆さん、一緒に
「やさしい日本語」の可能性を探究しましょう(*^-^*)
ポイントをまとめたパンフレットを作りました
ここまでご紹介した、「やさしい日本語」作りのポイントを
A4パンフレットにまとめました。
職場、学校、ご家庭に貼るなどして
お役立ていただけると嬉しいです(*^-^*)
そして、お近くに必要な方がいらっしゃったら、
ぜひどんどんお配りいただけると嬉しいです(*^-^*)
パンフレットをご希望の方は、
お問い合わせからご連絡ください。
(本文に「パンフレット希望」旨と、
その理由をよろしければご記入ください。)